2009年3月31日火曜日

読書日記*2009年3月


Bag of Bones
著者:Stephen King
出版社:Pocket Books Fiction, 1999

久々に英語で読んだ小説はスティーブン・キングの骨の袋。推理小説&ホラー好きの私にとっては、やはり原語で読む小説は楽しい。今月、久々に英語の本を選んだのは、最近英語での読書をあまりしていないのが気になったから、というのが正直なところだが、やはり大好きなキングの作品を選んで良かった。キング特有のリアルな描写に引きつけられた。また近々別のキング選書も英語で読んでみたい。



テクノロジストの条件
著者:ピーター・ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社(2005年)

私の尊敬するピーター・ドラッカー氏の晩年の著書。読み応えのある内容だった。この本の中で、ドラッカーはイノベーションのあり方を明確に定義している。天才はたしかに世の中に存在するが、それらの天才達にも、勤勉や忍耐、努力が必要と説いている。才能や創意だけでは、イノベーションはありえない。また、「ものづくりの技術が文明をつくる。だから技術のマネジメントが重要という理論」を具体例を挙げて説明していて面白い。


「ロングセラー商品」誕生物語
著者:藤井龍二
出版社:PHP文庫(2002年)

我々が普段目にする商品の裏側に、壮絶な歴史やドラマが隠れていることが知れて面白かった。長く愛される商品の中には、偶然生まれたものもあるが、それを育て上げ、絶え間ない改良を加えることによって、さらに完成度の高いものが出来上がる。それぞれの商品には、創業者や開発者の人間性や哲学が盛り込まれている様子が良く分かった。この精神を自分の仕事の指針にしたい。



小澤征爾・音楽ひとりひとりの夕日
著者:小池真一
出版社:講談社(2003年)

先月読んだ「ボクの音楽武者修行」(小澤征爾著)に引き続き小澤さんに関する本を読んだ。彼のスゴさは、日本を代表し、世界の小澤という地位を得た今も、アマチュアの音楽家の活動を全面的にバックアップしていることだ。「理屈では、文化や歴史の違いが、音楽ではしきりがないと思いたい。それが本当にそうなのかというのが永遠のテーマ。そう簡単に答えは出てこない」と言っているのがとても興味深い。



西洋音楽の歴史
著者:高橋浩子・中村孝義・本岡浩子・網干毅
出版社:東京書籍(1996年)

10年以上前に一度読んだ本だが、来月、西洋音楽に関するフォーラムに出席するのでその予習の意味で改めて読み返してみた。この本では、音楽だけでなく、その時代の社会の様子も簡単にまとめられているので、歴史と音楽史を照らし合わせながら理解できるとても分かりやすい1冊。





2009年3月29日日曜日

イスタンブールでのコンサート


昨晩から今日にかけて、スペインやトルコを含むヨーロッパ諸国は夏時間に入りました。昨日はトルコ入りで1時間時計を進め、夏時間になる為にもう1時間時計を進め、合計2時間のロスタイム。ちょと眠い朝を迎えました。

写真:トルコの全国紙でカニサレス紹介

昨晩のワールドカップ欧州予選で、スペインがトルコに勝利したことを気にしていましたが、実はそれを上まる強敵が潜んでいました。なんと!今日はトルコ地方選挙の投票日なのです。コンサートの主催者も、この不運なダブルブッキングに頭を悩ませておりました。。。トルコの選挙日は、アルコールの販売が一切禁止(レストランでもお店でも)という厳しい決まりもあり、ショッピングモールも、観光地も、全て閉鎖。国を挙げての一大イベントな為、こんな日にコンサートというのは無謀な各略でありました。

ま、私も今更どうすることも出来ないので、それでも最善を尽くそうね、と皆を励まし、念入りなリハーサルを終えて開場時間を迎えます。しかし!私の不安をよそに、扉の前には大行列!トルコのオスカー賞授賞式も毎年行われるというこのホールが、あっという間に満席状態。これには主催者も私もビックリでした!

写真:コンサート後に楽屋にて

アンコールにつぐアンコールが鳴り響き、2年ぶりのイスタンブール公演は大成功でした!公演後にビールで乾杯が出来なかったのが残念(アルコール販売禁止のため。。。)その分、トルコ料理を皆でお腹いっぱい食べて祝いました。


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2009年3月28日土曜日

イスタンブールへの旅


今日から、トルコのイスタンブールに来ています。2年ぶりのカニサレスのトルコ公演です。マドリードから飛行機で4時間。悪天候でフライトが遅れて予定より遅い夜9時に無事到着。ホテルにチェックインした後は、さっそく夜のイスタンブールに繰り出して、夕食です。

写真:トルコパン

写真:ひよこ豆のムースハモン添え

写真:羊肉のスパイシーケバブ

トルコ名物といえばケバブ。今夜のレストランはケバブ専門店で、羊のケバブ、鶏肉のケバブ、スパイシーなケバブ、辛みのないケバブなど、ケバブだけで十数種類もあります。ひよこ豆のムースはクミンがたっぷりのエキゾチックな味わい。トルコパンにつけていただきます。

さて、今夜はワールドカップの欧州予選。なんとトルコとスペインの対戦です。街の人通りが少ないのは、皆自宅でサッカー観戦のための準備をしているから、とレストランのウェイターが言ってました。トルコもサッカーがとても盛んで、ワールドカップとなると国中が盛り上がるとか。我々もレストランを早々に後にして、ホテルの一室に集合してグループ全員でサッカー観戦です。結果は1−0でスペインの勝利!嬉しい反面、明日のコンサートに影響しなければいいけど、と複雑な心境。



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2009年3月20日金曜日

マリア・パヘス『アウトレトラト』


写真:マリア・パヘスのアウトレトラト

マリア・パヘスの最新作『アウトレトラト』がいよいよマドリードにやってきました!この作品は、昨年なんと日本の東京国際フォーラムで世界初演された作品。昨年のビエナルでは、優秀な作品に贈られる、ヒラルディージョ賞も獲得しています。

私にとって、マリア・パヘスは学生時代に6畳一間の下宿にポスターを貼っていたくらい崇めていた、大好きなダンサーです。そしてまた、10年前にスペインへやって来て、カニサレスのマネージメントをしようと決めた時、そのノウハウを学ぶ為に彼女の舞踊団でマネジメントの修行をさせてもらったこともある、私のスペイン生活の基盤を支えてくれた、大事な女性です。

カニサレスも、彼女の作品「ラ・ティーラナ」の音楽を担当した縁で、以来家族ぐるみのおつきあいをさせてもらっています。そんなわけで、彼女がマドリードで初演をするときは必ず応援に駆けつけます。

マリアの作品はいつでもそうですが、今回の『アウトレトラト』にもたくさんのソルプレサ(驚き!)が満載の楽しいショーでした。鏡を使ったオリジナリティー溢れる演出は、観客の笑いも誘っていました。こうして有名になって、大きな舞踊団を構えても、決して手抜きをせず、自分自身で何曲も何曲も踊り尽くすところが彼女のすごさであり、いっそうしなやかさを増した身体使いは圧巻。長いブラソ(腕)の動きは舞台空間を自在に操り、得意とするマントンを使ったダイナミックなフィナーレを迎える頃には、満員の観客が総立ちになる盛り上がり。とっても楽しいショーでした。

写真:スタッフのクララ(左)とカンタオーラのアナ・ラモン(右)

マリア・パヘス舞踊団を陰で支えるクララと、カンタオーラのアナとも長い付き合い。お互いに忙しくて、なかなか会う機会はないので、こうして出会うとお互い話すことが多すぎて話が止まらなくなります(笑)。

今日は早起きしてセビージャを往復し、劇場に到着する頃には疲れ切っていたはずのに、マリアのショーを観て、楽屋で懐かしい面々と再会したら疲れは一気に吹っ飛びました。楽しい時間は、エネルギーの源です!


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2009年3月19日木曜日

セビージャへ日帰り旅行


今日はセビージャへ日帰り旅行。朝早くマドリード郊外の家を出た時は、気温6度。コートを着て、冬服で出かけたのですが、セビージャに降り立つとなんと気温27度!街行く人も半袖やノースリーブで闊歩しています。暑いくらいのセビージャ、お花も満開です。

写真:満開のお花(何の花でしょう??)

写真:満開でこぼれ落ちそう!

写真:マリア・ルイサ公園の芝生の植え込み

写真:あっこちゃんと、マリア・ルイサ公園で

セビージャ日帰りはお仕事で来ましたが、せっかく遠出して来たので、大学時代のフラメンコ仲間で、セビージャ在住のあっこちゃんと旦那さまのパブロにも久々に再会しました。セビージャでの滞在時間が6時間にも満たない大急ぎの滞在でしたが、充実した1日となりました。


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2009年3月14日土曜日

マウリシオ・ソテロの初演とタルタル・ステーキ


写真:国立オーケストラ公演のパンフ


昨日は、先々週に引き続き、スペイン国立オーケストラの演奏を聴きに行ってきました。今回は、フアンさんと私の友人のマウリシオ・ソテロの作品が初演されるのでマウリシオファミリーが招待してくれたのです。

マウリシオは、スペインを代表する現代音楽の作曲家。実はフラメンコが大好きで、彼の作品には、フラメンコ的要素がちりばめられているのが特徴的です。カニサレスの為に「フラメンコギターとオーケストラのための協奏曲」を作曲し、それをカニサレスが演奏。タイトルは「コモ・ジョラ・エル・ビエント」『これを演奏できるのは世界中でカニサレスしかいない』と大絶賛されたのは去年のことでした。時が経つのは早い!

その協奏曲(演奏:カニサレス)を聴いてみたい方は「カニビデオ」でどうぞ。こちらから行けます↓



そして、昨日はそのマウリシオの新しい作品『アルデ・エル・アルバ』の初演でした。ソリストはマドリード出身のソプラノ歌手ミラグロスと、カンタオールのアルカンヘル。ソプラノ歌手とフラメンコとは、これまにでもない組み合わせです。ジョセップ・ポンスの指揮の元、ミラグロスとアルカンヘルの掛け合いが面白い展開でした。作品の中盤では、ブレリアやグラナイーナのリズムも登場して、オーケストラが刻むリズムが快感でした。

この日の、第2部の演目はなんとカール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』。これまでにCD等で聞いたことはありましたが、生演奏は初めてで、感動しました〜。生で聴くとさらに壮大で、圧倒されました。日本では、水曜の夜にやっている『商品降臨』というミニ番組の主題歌になってますね(実は、サスペンスおタクな私は実家からビデオ送ってもらっているのです。水曜のサスペンスの後に放送されるのがこのミニ番組なのです)。

ちなみに、今回の演目は金・土・日の3日間演奏されます。日曜日の朝の公演はラジオ国立放送(RNE)で生放送されるそうです。日曜日の朝は自宅でもう一度聴いちゃおうかな。


写真:タルタル・ステーキ

2時間以上に及ぶ長いコンサートを終えた後は、マウリシオや出演者と一緒に楽しい夕食。今夜、生まれて初めてのタルタル・ステーキに挑戦しました。タルタル・ステーキとは、みじん切りにした生の牛肉(ひき肉ではない)をオリーブオイル、塩コショウ、薬味(ケッパー、ニンニク、たまねぎなど)を混ぜて、卵の黄身を中央にのせた料理。写真は、その薬味や黄身を混ぜてから整えてもらった状態です。普通レストランでは、かき混ぜる前の状態で出されますが、初心者の私は、お願いしてかき混ぜていただきました。

日本でいえば、アジやカツオのたたき(あの、2本の包丁でトントンとみじん切りにする)みたいな感じ。学生の頃に通った南房総の館山では、「なめろう」という名前で知られています。使われるのはアジの他にさんまやイワシなど。味噌や日本酒と絡めてあって美味です。これを焼いたのが「さんが焼き」。これと同じ発想で、タルタル・ステーキを焼いたのがハンバーグの始まりで、それを考案した地がドイツのハンブルグだったから「ハンバーグ」と呼ばれるようになったとか。

魚は生でも平気なのに、生の肉となるとカルパッチョやユッケでさえ、自らは進んで注文しない私。なんとなく、肉が生なところに抵抗感がありました。が、このタルタル・ステーキは、マウリシオの大好物。今日は「マリコ、僕の初演を祝って、今日こそはタルタル・ステーキを注文してみない?」というので、えーい!と思い切って頼んでみました。

おいし〜い!

肉の臭みなどは全くなく、卵の黄身がほどよく混ざっていてまろやか。薬味も効いていてどんどん食べられます。そんな私を見て、マウリシオもにっこり。で、通の食べ方はこうだよ、と教えてくれたのは、なんとタバスコをかけるという方法。さっそく試すと酸っぱい辛さが生肉にとっても良く合って、完食。なんでこんなに美味しいものをこれまで敬遠してたのかしら。

いい音楽に、おいしい食事。こういうひとときは人生の栄養剤です。


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2009年3月13日金曜日

失いたくない日本人的感覚



スペイン生活も、10年を超え、だんだん自分の感覚がかつて日本に住んでいた頃と違ってきたことに気づきました。日本の昔からの友達や、初めて会った日本人に、「真理子って日本人離れしているよね」と言われるのには慣れっこになりましたが、それが必ずしもいい意味だけではないことを、長年の経験からようやく学びました。

海外に住むようになると、日本を客観的に見ることが出来るようになり、その分日本の良さも悪さもはっきりと見えてきます。日本人的な感覚やものの運び方が、時に非合理的、非生産的に見えることがあるのも事実です。その反動で(?)スペインへ来た当初は、スペイン流ばかりがよく見えてしまい、一気に「スペイン化」したことは否めません。

でも、10年という長い月日が経ち、少し落ち着いてくるとやっぱり日本人としての古き良き伝統やしきたり、立ち居振る舞いや感覚は失いたくないな〜、と思うようになりました。この10年間の間に私の中に生じた変化を振り返ってみました。。。


1:電話の時にお辞儀をしなくなった
これは、まだ日本に住んでいた頃、私の実家にアメリカ人の女の子達が家ホームステイに来た時に彼女達に言われて気づいたことでした。「電話の先の相手はお辞儀しても見えないのに」。たしかに、そうだな、とは思いましたが、相手を慮る素敵な習慣だと感じていました。それなのに、スペイン生活の中でいつのまにか、電話越しにお辞儀をしなくなっていました。。。

2:手みやげを渡す時に「つまらないものですが」と言えなくなった
これって、実はとても日本的な発想なんですよね。昔、スペイン人に同じような表現を使ってプレゼントをしたら、変な顔で見つめられたのを覚えています。なんで「つまんないものをくれるの?」と思ったのでしょうね。。。スペインだったら「あなたのことを考えて選んだの。気に入ってくれるかしら?」みたいな言い方が一般的です。必要以上にへりくだる必要はないと思うのですが、基本的な考え方は自然と態度にも表れるので、再確認したいと思いました。

3:自ら進んで10分前行動をしなくなった
定時に着けばOKみたいな感覚がすっかり身に付いてしまいました。第一、スペインにいたら仕事上でもプライベートでも、遅れてくる人はいても時間前に来ている人はほんの僅か。それでも当初は10分前行動を常に心がけていましたが、毎回待ってばかりだと、損した気にもなってしまいます。。。でも、これを日本で当てはめてしまうと大変!この辺りは、きっちり区別していきたいですね〜(難しい)。

4:「すみません」の回数が減った
これは、人に謝らなくなった、という意味ではなくて、謝罪以外の場面で「すみません」を連発しなくなった、という意味です。スペインへ来て当初は、プレゼントをもらっても「lo siento(すみません)」自宅をわざわざ訪問してくれた人にも「lo siento」ドアを開けて押さえていてくれる人に「lo siento」。。。フアンさんにも「lo siento」を連発していたので、「なんでいつも謝ってるの?」と素朴な疑問を投げかけられました。そうだね、こういう場面では「gracias(ありがとう)」だね。頭の中では「すみません」をそのままスペイン語に訳していた私ですが、スペイン語で「すみません」の回数が減ると同時に日本語でも同じ場面で、「すみません」より「ありがとう」の方が先に出るようになりました。

5:話す時のジェスチャーが大きくなった
これは、妹に言われて数年前に気づきましたが、はい、確かに話す時にジェスチャーが大きくなっています。スペイン人は皆ジェスチャーが大きいし、ジェスチャー自体に話の内容や感情のレベルを補足する意味があったりするので、皆手をブンブン振り回し、表情もコロコロ変えながら話をします。スペイン語を話す時にこれをしないと、「timido/a(恥ずかしがり屋)」と思われるか、つまらないと思われてしまうのが相場です。でも、これを日本語で話す時にも応用してしまうと、相手に必要以上に威圧感を与えてしまったり、外国かぶれしていると思われがちです。大袈裟にしようと思ってジェスチャーが大きくなるのではなく、もう身に染み付いた習慣みたいなものなんですが、これも上手く使い分けをしたいことの一つです。

6:ティッシュペーパーの2度使い
うわっ、汚い!と言うなかれ。スペインのティッシュペーパーって、紙ナプキンみたいに分厚いのです。だから、スペインティッシュで鼻をかんでも、まだ充分使える程丈夫なので、スペインの人は鼻をかんだティッシュをまたポケットにいれて、次回に備えます。確かに、1値度使っただけで捨ててしまうのはもったいないので、私も2度(以上)使いします。でも、これと同じことを日本でもしてしまい、家族のひんしゅくをかいました。。。日本の薄くて肌にも優しいティッシュは2度使いにはむいていませんね。

7:なんでも日本と比較
外地に住むひとなら、誰でもそうだと思いますが、住んでいる国で何か気に入らないことがあると、「日本だったらこんなことないのに」とついつい思ってしまいます。それ自体は良いのですが、この比較論が行き過ぎると、日本の姿を買いかぶってしまい過ぎることもあり、一時帰国で日本へ行った時にショックを受けることになります。たとえば、スペイン新幹線AVEの中で平気で大声で携帯電話を使っている人をみて、「あ〜、日本の方がマナーがいいよな」と思っていましたが、一方で日本では、電車の中で平気でお化粧をしたり、電車の床(?)に座り込んでいる学生さんたちを目にした時はショックでした。

8:日本に対する興味が増した
これは、超メリットだと私は思います。日本にいた頃はいつも欧米の文化や芸術にばかり気を取られていたし、高校の歴史選択ももちろん世界史、学生時代にお金がないにも関わらず旅行といえばヨーロッパ、という図式が成り立っていたのも、ひとえに単純な欧米崇拝の観念からだと思います。スペインに住むようになってから、それが一転し日本の伝統芸能や歴史、習慣や風習、日本語そのものでさえも、興味の対象になりました。さらに、一時帰国の折にたいてい1泊で出掛ける温泉旅行が何よりも楽しみ。日本って、素敵です。

9:店員の態度が悪くても気にならなくなった
スペインの誇るデパート、エル・コルテ・イングレスでさえ、店員の方々は客がどうしようとおかまいなく、たいてい3−4人でおしゃべりに夢中になっています。お会計をお願いしたい時は「あの〜お話中断して申し訳ないですが、お会計いいですか?」とこっちが頭を下げなくちゃいけないような状況も多々。昔はこの態度がどうしても許せなかったのですが、気づいてみると腹も立たなくなっていました。「お会計してくれる?」と気軽に言えるようになりました。一方で、日本でお買い物にでかけると、コンビニでも店員さんが丁寧で嬉しくなります。以前、自動販売機にまでお礼を言われてビックリしたこともありました。

10:指定時間通りに郵便物や宅配が来なくても腹が立たなくなった
去年の暮れに、8年目にして洗濯機が壊れました。前出のデパート、エル・コルテ・イングレスで洗濯機を購入。指定された配達日に一日中洗濯機を待つも、音沙汰なし。仕方なく翌日、店に電話をかけてみると「ああ、あれは、そうね。昨日は届かなかったのね。じゃあ来週になるわ。あ、でもちょっとまって、クリスマス休暇が入るからその次の週ね」『あの〜、洗濯機がないと結構困るんですよ。何とかなりませんか?』「そうね。ああ、じゃあ明日、届けますよ」『あ、本当ですか?何時頃になります?』「う〜ん、時間の指定は出来ませんね。でも18時前には届くはずです」『分かりました。じゃあ待ってます』。そして翌日。待てど暮らせど洗濯機は届かない。再度電話をかけると「ああ、今日は配達がありませんよ」『。。。』「明日また電話して確認して下さい」『え?私がかけるの?』その夜のこと。深夜11時過ぎにチャイムがなり、開けてみると門の前には宅配の人が笑顔で「君の洗濯機だよ!」と。それから、古い洗濯機を取り外し、新しいのを取り付け。。。終わる頃には日付も変わろうとしていました。。。でも、そこには不思議に腹が立っていない自分がいるのに気づきました。


こうして書き出してみると、必ずしもマイナス面だけではないかもしれませんが、両方の国のいいとこを取入れながら生きていくか、悪いところをフォーカスしてどちらの国に対しても不平不満を言って暮らすかは、最終的には、自分次第なんですね。とはいえ、スペインにいれば私の態度や行動が「日本人」のそれと認識されてしまうことも事実ですから、日本人として誇りを持って、恥ずかしくない生き方をしたいと思います。


*今日のことわざ*
Donde fueras, haz lo que vieras.
(どんで ふえらす あす ろ け びえらす)

行った先々では、見たことをまねよ=『郷に入っては郷に従え』
スペインではスペインらしく、日本では日本らしく振る舞う中から、自分らしさを見いだしていければ素敵だと思います。


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2009年3月12日木曜日

かぼちゃのポタージュ



写真:輪切りで売っているかぼちゃ

先日、マドリードのレストランで食べたかぼちゃのポタージュが気に入ってしまったフアンさんのために、今日は手作りのかぼちゃのポタージュです。外食した時に美味しい!と思ったものは、原材料を味から分析して自己流に作るのが趣味。それを分かってるフアンさんもレストランでポタージュを飲んだときに私に目で合図。「これ、作ってね」。

さっそく、かぼちゃを購入。これは長細くて黄色の皮のかぼちゃ。輪切りになって売っています。殆ど種もないので、皮をむくだけで、そのまま丸ごと使えて便利です。

写真:角切りにしたかぼちゃ

さて、かぼちゃのポタージュには初挑戦です。レストランのポタージュは確かに美味しかったのだけど、多分鶏ガラベースなどを使っているのか、しょっぱめに仕上がっていました。私的にはかぼちゃは、あの自然な甘さを生かした調理法が一番!ということで、甘めのポタージュにレシピ改良です。

材料
かぼちゃ:500g
塩:少々
マーガリン:大さじ1杯

え?これだけ?というくらい簡単な材料ですが単純な材料の方がかえって素材の味が引き立ちます。かぼちゃはまず2cm程度の角切りに。沸騰したお湯で10分程茹でます。

写真:ミキサーにかける前のかぼちゃ

茹で汁をカップ1/2杯ほど残して、茹で上がったかぼちゃを取り分けます。ミキサー用の長細いカップに茹でたかぼちゃ、マーガリン、塩少々と茹で汁を加え、一気にかき混ぜます。

写真:ミキサーセット

ちなみに、今回登場のミキサーは、クッキング用の色んなミキサーがセットになった優れもの。スペイン語ではバティドーラといいます。スペインの家庭には、たいてい一家に一台ありスペイン料理を作る時にもよく登場します。

写真:完成!かぼちゃのポタージュ

そして出来上がったのが、こちら。かぼちゃのポタージュです。想像通り、かぼちゃの自然な甘みが充分に引き出されていて、なんともクリーミー。ボソボソ感があったら生クリームを入れようと準備もしていましたが、その必要は全くなく、栄養面からも満点のポタージュが出来上がりました。

でも、フアンさんが気に入っていたのは、甘めじゃなくしょっぱめのポタージュだったっけ。さてさて、フアンさんの感想は?「うん、こっちの方がおいしいや。お砂糖入ってるの?」いえいえ、お砂糖は入っていませんが、それほどあま〜い仕上がりでした。それにしても、スペイン人は猫舌が多い(と私は思う)。フアンさんもその典型なので、最初の一口の後は長らく冷ましてから食べてました。私はやけどする位アツアツの方が美味しく感じるのですが。そういえば、こんな諺もありました↓


*今日のことわざ*
No comes caliente, no perderás el diente.
(の こめす かりえんて の ぺるでらす える でぃえんて)

熱いものを食べなければ、歯を失わない。
熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに頂くという日本のお料理の基本精神には反する気がしますが、確かにアツアツのものを食べていると、健康に悪い!と皆からよく注意されます。でもやめられません。。。


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2009年3月5日木曜日

スペイン国立バレエ団


写真:スペイン国立バレエ30周年記念企画、パンフレット


スペイン国立バレエが創立されたのは、1978年のこと。今回は30周年記念行事の一環として、芸術監督ホセ・アントニオ監督による『エスクエラ・ボレーラ』が上演されました。初日公演に招待されたフアンさんにくっついて、私もご相伴にあずかって参りました。

今回の国立バレエの作品『エスクエラ・ボレーラ』は、3部構成のエスクエラ・ボレーラの作品集です。エスクエラ・ボレーラとは、クラシコ・エスパニョルに分類されるスペイン古典舞踊の一種で、バレエシューズを用いて踊られます。その昔、海外でクラシックバレエを学んだスペイン人の舞踊手が、バレエにスペイン的な要素を織り交ぜて考案した踊りといわれ、カスタネットを巧みに使いながら繰り広げる、跳躍を多分に盛り込んだステップが特徴的です。フラメンコ的な要素もたくさん見られます。クラシックバレエでも、フラメンコでもないスペイン特有の古典舞踊の一種です。

残念ながら今日では、エスクエラ・ボレーラが上演されることは、スペイン本国でもどんどん減っており、幻の舞踊となりつつあります。それを大々的に取り上げた今回のスペイン国立バレエの企画は、まさに創設30周年の記念に相応しい文化事業だと思います。

スペイン国立バレエが1980年代に初演した作品から、今回新たに振付けされたものまで、どれも完成度の高い素晴しい作品です。衣装もとても華やかで素晴しい。終演後楽屋で、スペイン国立バレエの衣装担当の人が「これらの衣装は国の宝よ」といいながら見せてくれた衣装には感嘆です。舞台上で存在感を醸し出していた衣装達は、近くでみるとさらに素晴しい。生地の質から細かな装飾に至るまで、ものすごく手が込んでいてまばゆいばかりに輝いているのです。そしてかなり重い!こんなに重い衣装を着ながら、よくあんなに軽やかに踊っていたなぁと、改めて感心させられました。



今から30年前、スペイン国立バレエの初代芸術監督に就任したのは、かのアントニオ・ガデスでした。以来、3−5年ごとに新しい芸術監督を迎え、現在はホセ・アントニオが2度目の芸術監督として指揮を取っています。スペイン国立バレエは、その名の通り国立のバレエ団で全てのスペイン舞踊の伝承と普及を主要な目的として活動しています。こうした素晴しいスペイン生まれの芸術がいつまでも廃ることなく受継がれていくことを願ってやみません。


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