2011年3月9日水曜日

素敵な夕食会


今日は、スペイン国立オーケストラの主席指揮者ジョセップ・ポンス氏と、スペインを代表する現代音楽作曲家マウリシオ・ソテロ氏とカニサレスの夕食会に私もご相伴にあずかりました。スペインの先鋭音楽家たちの集まりは、いつもとても楽しい。というのも、話題が音楽だけに終始することなく、いろんな方向に展開していくからです。

とはいえ、今日のメインのテーマは『アランフェス協奏曲』。ベルリンフィルとの共演が分かってからすぐポンス氏から電話があり、指揮者の立場から『アランフェス協奏曲』を解説してくれるという至極豪華なオファー。もちろん彼はカニサレスの友人で、これまでにもよく一緒に食事をしたり、コンサートに出かけたりと親交を温めて来たのですが、このところなかなか都合が合わず、彼に会うのは実に半年ぶり。

さらに、偶然が重なるビッグニュースが舞い込んできました。今年の6月、カニサレスはドレスデン国立管弦楽団と共演し『アランフェス協奏曲』を演奏することが決まっているのですが、その指揮者に、ポンス氏が抜擢されたのです!これは、もう『アランフェス協奏曲』を語らないわけにはいかない、というわけで迎えた今日の夕食会。楽譜を引っ張り出して、細かい演奏方法について議論が広がります。時にはメロディーを口ずさみながら、目を見合わせてはにっこり微笑む二人は、既にロドリーゴの世界に浸っていました。

この様子の写真カニサレスの感想等はカニブログのエントリーから


明日もオーケストラのリハが朝早くから予定されているポンス氏に別れを告げ、マドリードのセントロにあるHotel Urbanのバーに場所を移します。

写真:Hotel Urbanのロビー

このホテルは、何といってもバーが素敵。1階と屋上にバーがあって、どちらも雰囲気抜群。夏には屋上のバーのテラスが最高だけど、まだ寒いので今日は1階のバーに陣取り、マウリシオ、カニサレスと3人で深夜のプロジェクト会議。


写真:Hotel Urbanのバー


この写真は、夕食会にいく前に撮影したもの。平日の夜だというのに、深夜2時になってもたくさんの人で賑わってる。私は運転があるし、また低血圧で倒れるといけないので、今日はお酒はなし。蜂蜜入りのモスト(ブドウジュース)で大人な夜。


写真:今日のツーショット

久々に会ったマウリシオとも思う存分話ができて、大満足な夜。
もう少し暖かくなったら、Hotel Urbanの屋上テラスにもまた来てみたいです。


Hotel Urban
Carrer de San Jerónimo 34, 28014 Madrid
Tel:+34-91-787-7700


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2011年3月8日火曜日

Los hombros de mi padre


Foto: Con mis padres y Juan san en Hawaii


La semana pasada, mi padre cumplió 67 años.

Desde que yo vivo en España, como no podemos pasar juntos esos días significativos del año, las llamadas internacionales en el día del cumple se han convertido en una costumbre de la familia Ogura. Así que al igual que en otros años, el día de su cumple, le llamé a su móvil. Pero su móvil estaba apagado o fuera de cobertura.

Bueno, entonces, pensé: voy a escribirle un mail de felicitación. Gracias al desarrollo tecnológico como SKYPE, la comunicación con Japón ya es barata y rápida, y puedo disfrutar del servicio muy a menudo. Pero mis padres aún no se han jubilado, y como se levantan por la mañana muy temprano y por la noche se acuestan muy pronto, las 8 horas de diferencia con Japón me imponían encontrar un momento adecuado para hacerles esa llamada. Me doy cuenta que ya llevo casi 3 semanas sin hablar con ellos.

Quizás por este tiempo de ausencia, cuando empecé a escribir el mail, me salieron muchísimas cosas que quería comentarle, preguntarle su opinión etc etc… el resultado no sé ya si fue un mail de felicitación o un documento para informar de mis 3 semanas de vida. Pero pensé, que esto tenía más sentido que un simple “estoy muy bien” así que pulsé el botón de “enviar”.

Peno no recibí ninguna noticia de él desde entonces.

Mis padres pertenecen a una generación que cuando eran jóvenes, no había ni ordenador ni móvil. Me acuerdo perfectamente el día que mi padre me envió su primer e-mail. 『げんきですか?』(GEN-KI-DE-SU-KA?, significa, cómo estás?solo 5 silabas. Antes de que yo abriera su mail, me llamó por teléfono desde Japón, que aún costaba mucho dinero aquella época y me dijo “ Oye, acabo de enviarte un mail! Lo recibiste?” escuché su voz muy excitada detrás del teléfono. Mis padres ahora ya utilizan SKYPE y me llaman gratuitamente. Cuando le envió un mail me contesta en unos segundos. Sabe que mi BlackBerry no muestra caracteres japoneses, cuando tiene un asunto urgente, me escribe en inglés. Me siento un poco orgullosa de mi padre que maneja “la última tecnología”.

Pero pasó casi una semana y yo seguía sin saber nada de él.

Bueno, le voy a volver a enviar un mail. En ese momento, sonó mi móvil. Era una llamada internacional desde un prefijo del país +66. Qué país será? Asia? Yo por si a caso, me pongo en modo de trabajo y dije “Hello?” y escuché la voz de mi padre detrás del teléfono. “Hola! Soy yo, tu papá. Cómo estás?” “Yo muy bien, dónde estás tú ahora?” “Ahora? Ahora estoy en Bangkok. Acabo de llegar. Gracias por tu mail de felicitación de mi cumpleaños! Es que cuando recibí tu mail, estuve en Birmania! Ya sabes, aquél país está fatal de Internet ni podía usar mi móvil. Perdona por mi ausencia!”

Claro! Mi padre estaba de viaje por Asia. Durante dos semanas visitó Tailandia, Birmania y Camboya y pasado mañana volverá a Japón. Parece más joven que su edad, y está trabajando mas duro que los jóvenes. “Oye hija mía, en tu mail, he encontrado muchos errores ortográficos y gramáticos!” no se corta nada para regañarme!

Cuando yo era joven, mi padre para mi era un modelo en el cual yo me miraba, algún día yo quería alcanzarlo, tener ese ímpetu. Le admiraba mucho y quería ser diplomática como él. Estudiaba muchísimo para cumplir mi sueño. Pero cuando fui a la Universidad, me metí al mundo del Flamenco, entonces cambió mi destino, y a veces me peleaba con él. En aquella época, después de discutir un día fuertemente con él salí de casa, y empecé a vivir sola en Tokio. Pero fue él quién quitó esa gran distancia que se creó entre nosotros. Dejé de seguir el camino para ser diplomática, vine a España para estudiar, y me casé con un español, pero mi padre me entendió y dijo simplemente “Tienes que elegir y decidir tú misma. Es tu vida.”




Foto: Con mis padres y Juan san en España


Cuando me casé con Juan san, mi padre dijo “A mí me gustaría hablar con tu marido sin tu traducción” y empezó a estudiar español en una Universidad en Japón, después de su jornada laboral. Ya lleva años estudiando. Cuando tiene alguna duda en sus tareas, me llama o me escribe un mail y me pregunta. Creo que esa actitud de preguntar cosas hasta su propia hija, le hace un hombre grande. Gracias a sus años de estudio, ya mi padre ya puede hablar con Juan san en español sin mi ayuda. Pueden hablar de muchas cosas ya sin mi traducción. Es realmente admirable.

Cuando actuó Cañizares en Carnegie Hall en Nueva York, vino desde Japón a escucharlo. Y dentro de 2 meses, para el concierto con la Filarmónica de Berlín nos visita a Madrid aunque solo 3 días. Yo agradezco de corazón a mi padre que adora a Juan san como su yerno, y a Cañizares como el artista y el compañero de mi trabajo.

Él me comentó que va a dejar la empresa en la cual está trabajando actualmente, y va a montar una suya el mes que viene. Qué vitalidad! La espalda de mi padre es siempre grande y amplia, y esa actitud ante la vida es un objetivo al cual apunto y espero alcanzar algún día. Gracias por predicar con el ejemplo Papá.




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父の背中


写真:両親、フアンさんとハワイにて


先週、父が67回目の誕生日を迎えた。私がスペインに住むようになってから、誕生日には電話を掛け合うのが小倉家の習慣になっているので、今年も誕生日に父の携帯に電話をしたが、電源が切れていた。

それじゃ、ってことでメールを書いた。SKYPEなどが普及したおかげで、最近は日本との連絡も安く、スピーディーに、しかも頻繁にできるようになった。でも、まだ現役で仕事を続ける両親の朝はかなり早く、夜も早く就寝するから、8時間の時差が大きな壁になってなかなか電話のタイミングがつかめない。気づいてみると、もう3週間位両親と話をしていなかった。

そんなわけで、いざメールを書きはじめてみると、知らせたいことや話したいことがたくさんあって、書き終わってみると、誕生日のお祝いなんだか、近況を綴った報告書なのかよく分からないものが出来上がってしまった。でも、まぁ「元気でやってるよ」とひとこと言うより詳細を読んでもらった方がよく状況が伝わるし。送信ボタンを押した。

しかし、それから一向に返事がこなかった。

若い頃はパソコンも携帯もなかった親の世代。父が初めて私にメールをくれた日のことを、今でもはっきり覚えている。「げんきですか?」とひらがなで。たった5文字。私がメールを開くより先に当時まだ高額だった国際電話で「おい、今メール送ったぞ、みたか?」とやや興奮気味な父の声が電話越しに響いた。その両親が今はSKYPEを使いこなして電話をくれる。メールもすぐに返事が来る。私のBlackBerryが日本語に対応していないのもちゃんと知っていて、急ぎの時は英語でメールをくれる。最新兵器を使いこなす、そんな父がちょっと誇らしい。

しかし、メールに返事が来ないまま1週間が過ぎようとしていた。

もう一度、メールを送ってみるか。とメールソフトを立ち上げた瞬間、携帯が鳴った。見慣れない国番号「+66」からの国際電話。どこの国だろう?アジア?念のため仕事モードに切り替え、英語で対応。ハロゥ?すると電話の向こうからは父の声。「おぉ、お父さんだ。元気かぁ?」『元気だよ、今どこにいるの?』「今?今はタイのバンコクに着いたところだ。誕生日のメールありがとな。いやぁ、実はメールもらった時にはミャンマーにいてさぁ。あの国はインターネットの利用が制限されてて、携帯も使えない状況だったんだよ。わりぃ、わりぃ。」

そうだ、父は出張中だった。約2週間、タイ、ミャンマー、カンボジアを訪れ明後日、日本に帰る予定。67歳とは思えない行動力で、まだ現役で頑張っている。「それより今回のメールな、誤字脱字が相当多かったぞ。漢字の変換ミスもあったし。でも、まぁ元気そうでなによりだ」間髪入れずダメだし。

子供の頃は、父に追いつけ追い越せ、と自分を叱咤して来た。父の背中に憧れて、絶対に外交官になろうと一生懸命勉強もした。が、大学でフラメンコに出会い、道が反れ、父とは反目しあった時期もあった。反抗して、家出して、東京で一人暮らしをはじめたのもこの頃だった。しかし、もう修復しようもないかの様に思えた大きな溝さえ、父はゆっくりと取り払ってくれた。外交官になる道を諦め、スペインに留学し、スペイン人と結婚することも「おまえが決めることだから」と理解を示してくれた。


写真:両親、フアンさんとスペインにて


私の結婚後「フアンさんと、お前の通訳なしで話したいからな」と言って、父は上智大学のオープンカレッジでスペイン語を学びはじめた。もう数年通っている。出された宿題の難しいところがあると、メールや電話で私に質問してくる。娘に対しても、分からないことは素直に聞ける姿勢。それが父の偉いところだと私は思う。その甲斐あって、今では父とフアンさんを二人きりにしても、長々と尽きることなく話をしている。はっきりいって、スゴイ。

ニューヨークのカーネギーホールでカニサレスのコンサートがあった時も、真冬の寒い時期、家族や親戚を連れて、わざわざ日本から観に来てくれた。再来月のベルリン・フィルとの公演にも、たった3日間の予定でマドリードを訪れてくれる。こうして、私の夫としてのフアンさん、パートナーとしてのカニサレスを大事にしてくれる父に、とても感謝している。

来月には今働いている会社を辞め、新しい自分の会社を起こすそうだ。なんというバイタリティー!私たちも負けていられない。私にとって父の背中は、いつまでも広く、大きく、追い越せない目標だ。




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2011年3月6日日曜日

楽しい週末!



写真:フアンさんと映画館で

この週末は、特別な仕事が入っていなかったので、土曜=映画、日曜=ショッピングという豪華な二本立て。映画は、先月公開されたばかりの『ブラック・スワン』。土曜日とあって大勢の人で賑わっていました。写真はヒガンテサイズのポップコーンとコカコーラ。さすがにデカすぎましたが、映画はやっぱりこれがなくちゃ!



写真:マドリード郊外のアウトレット・ショッピングモール

そして、寒いながらも快晴の日曜日は、朝からアウトレット「ラス・ロサス・ビレッジ」へ。通常、スペインでは日曜日=お店がお休みなのですが、最近は月初めの日曜日は、殆どのお店がオープンするようになりました。このアウトレットは、毎週オープン。スペインもだんだん消費者に優しい国になってきました。

この「ラス・ロサス・ビレッジ」はブランド店が軒を連ね、どのお店も常時セール中という嬉しいショッピングモール。建物の中にひしめくアウトレットではなく、その名の通り街形式になっていて、大好きな御殿場のアウトレットを思い出します。70%オフとかいう表示を見ると、あ〜、もう買わなきゃ損?みたいな気分になり、ついつい購買意欲を刺激されちゃいます。

アウトレットは、基本的に普通のお店で売れ残ってしまった商品が、半額かそれ以下で売られているので、サイズがなかなか見つからないのが難点。しか〜し!今回はとってもついてました。

私用にハイヒール3足、ドレス1着、春物のスカート2着を購入。フアンさんにはシャツ3枚、皮のショートブーツ1足、ネクタイ2本を購入。フアンさんは、さらに本屋さんで本を5〜6冊購入し、2人とも大・大・大満足。ショッピングって、どうしてこんなにストレス発散できるんでしょう?

ショッピングで超リフレッシュの週末でした。



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2011年3月4日金曜日

第2回マドリード女子会


昨晩から降り積もった雪の為、私の住むマドリード郊外(約50キロ)から市内に出るのは一時不可能かと思われたけれど、高速道路は除雪車が塩まき作業をしてくれていたおかげで、チェーンをつけずに走行可能。市内には雪は積もっていなかったものの、風も強く、時折ヒョウの降る寒い一日。


写真:英子&真理子

今回のレストランは、カステジャーナ通りにある日本食のレストラン「美山」。着くなり、日本茶のサービス。今日のように寒い日は、お茶を飲むと、あ〜日本人でよかった、何故かホッとします。

前回、カメラを持っていたのに写真を撮り忘れた教訓を活かし、今日はたくさん写真撮影。まずは、私がブログの師匠とあおぐ英子と。スペインを隅々まで知り尽くした彼女のブログは写真も満載。歴史や説明もバッチリ。スペインの参考書として使わせてもらってます。



写真:英子&美貴子&真理子

同じ時期に同じ大学に在籍し、同じサークルでフラメンコを踊っていた3人が、日本から遠く離れたスペインでこうして時々会えるなんて、奇跡みたいなものです。3人の中では私が一番スペイン在住が長いのに、英子と美貴子ちゃんの方が、マドリード情報に詳しい。女子会は私にとって、情報収集の場でもあります。

さらに、フラメンコ、ヨーガ、ジムと趣味と実益を兼ねた余暇を過ごしているこのふたりのエネルギーはスゴイ。会う度、ポジティブな気分にさせられます。



写真:定食のお寿司

お昼は3人揃って定食。お寿司、お刺身、揚げ物から選べ、前菜からデザートまでのフルコース。私たちは迷わずお寿司をチョイス。見た目も上品で◎。お味も◎。あ〜やっぱり日本人でよかった。この小さな気晴らしが、大きなリフレッシュとなり、また1週間の鋭気を養ってくれます。早くも次回が楽しみ!

RESTAURANTE Miyama(美山)
Paseo de la Castellana 45, 28046 Madrid
Tel: +34-91-391-0026


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2011年3月3日木曜日

王立劇場、芸術監督のジェラルド・モルティエ氏




今日は、王立劇場の芸術監督ジェラルド・モルティエさんと初めて膝を交えた会食。彼が予約してくれたレストランは、以前から気になっていた、Clu 31というおしゃれなレストラン。まずは、彼の親友である、ベルリンフィルの指揮者サイモン・ラトル氏からの言付けを伝え、先日のベルリンフィル訪問の報告から。

モルティエ氏は、自分の生い立ちから芸術に関する考え方、王立劇場のオペラのあり方と変革の必要性、スペインのオーケストラにおける問題点とその打開策、そしてカラヤンの後継者としてザルツブルグの音楽祭の芸術監督として過ごした10年間の経験など、非常に興味深い話をして下さると同時に、カニサレスにはフラメンコに関する質問攻め。彼の好奇心が伺えます。

昨年の9月に、王立劇場の芸術監督に就任され、それから約半年で様々な改革を手がけてきました。まずは、王立劇場管弦楽団の改造。ヨーロッパの中では決して高い評価を受けていないこのオーケストラを、ミラノのスカラ座、パリのオペラ座に負けないオーケストラにすることを誓い、その実現に向けて尽力されています。海外から優秀なソリストを呼ぶだけでなく、スペイン人の優秀なミュージシャンを育成して、底力をあげて行く必要性を説き、300人を超えるミュージシャンのオーディションをしたことは有名です。

またフラメンコの芸術性に理解を示され、これまではフラメンコに対して閉鎖的だった王立劇場の扉を少しずつ開けようと、各界に働きかけています。王立劇場のメインイベントの1つであるニューイヤーコンサートに、アントニオガデス舞踊団と、カニサレスがフラメンコ代表としては初めての出演を果たしたのも、その事業の手始めでした。

また、スペインには、音楽教育の基盤がまったくないことを嘆かれ、子供達が王立劇場を訪問し、社会科見学を出来るようなシステムも活性化させました。このおかげで、6歳以下の小さな子供達が、先生に連れられてわいわいと王立劇場を訪問したり、12歳以下の子供達が、王立劇場でのコンサートを楽しむ場を提供したりしています。

また、スペイン人が家族を大事にする国民性だということを充分に理解された上で、ファミリーコンサートと銘打ったオペラやコンサートを開催。入場料を破格の5ユーロという低価格に設定。入場の条件は、親が子供と一緒にコンサートを鑑賞する、ということ。今年初めて開かれたファミリーコンサートは、日曜の午前中、子供連れの家族で満員だったそうです。来年のファミリーコンサートには、カニサレスも出演予定。こうした行事がどんどん増えていくと素敵です。

それにしても、就任からたった半年でこれだけスゴいことをこなされています。今年66歳。ベルギー出身で、数ヶ月前まで私たちとも英語でしか会話されなかった彼が、今夜は3時間ずっとスペイン語でこれらの複雑な話をされていました。スペイン語は毎日2時間、週末には6時間勉強されているそうです。スペインでスペインの文化に触れ、スペインの芸術家達と本音で話し合う為には、スペイン語が必須だと、彼の6カ国語目に当たる言語の習得に取り組まれています。「この年になると、なかなか覚えられなくてね、動詞の活用を1つ覚えると、人の名前を1つ忘れるんだ。もう随分動詞の活用が出来るようになったけど、おかげで顔は見覚えあるけど名前を忘れちゃった人が多くなっちゃって困るよ」と戯けてみせるあたりにも、余裕が伺えます。彼の66歳とは思えない若々しさ、バイタリティーに、私たちもたくさんのいいエネルギーを頂きました。とても素敵な夕食でした。



RESTAURANTE Club 31
C/Alcará 58, 28014 Madrid
Tel: +34-91-531-0092



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入試ネット投稿事件に関する考察


日本では、入試問題がインターネット上に投稿され、予備校生が逮捕されるという事件がおきた。これに対して、色々な意見が飛び交っている。私が注目したいのは、「カンニングで警察が逮捕はやり過ぎ」という世論。

確かに、カンニングという不正行為そのものだけに注目した場合、単にその受験生が「不合格」になるだけでなく「警察」が「逮捕」したという事実を行き過ぎ、と捉えるのは分からなくない。

官房長官が記者会見で「入試の公正性は大変重要な問題であり、公正を害するような事件は大変遺憾の極みだ」と述べたと言うが、私は「公正性が妨害された」ことよりも「インターネットが不正使用された」ことにもっと焦点をあててもよいかと思う。その上で、今回の「逮捕」は、これから先のインターネットの利用方法を真剣に考えて行く為の、いい教訓になるのではないかと思うのだ。

例えば、インターネット上に飛び交う罵詈雑言。もし同じことを街中で、誰かに面と向かって行えば名誉毀損で訴えられたり、警察に逮捕されてもおかしくない。しかし、インターネット上では、匿名を隠れ蓑に、やりたい放題だ。今回の事件で、もうひとつ印象的だったのは、インターネットの匿名性が暴かれることに少なからず驚きを覚えている人が多いことだ。スペインではまだ仕組みが整っていないが、例えばドイツでは、不正なインターネット使用が認められると、翌日か、遅くとも翌々日には警察のインターネット課の人が自宅にやって来て、罰金、もしくは逮捕もあり得るという。だから、インターネット=匿名という考えは今ではもう浸透していないそうだ。日本で圧倒的な会員数を誇るmixiは殆どの人が、匿名や本人を特定しにくいニックネームで利用しているのに対し、海外で幅を利かせるFacebookを多くの利用者が本名を使っているのは、この辺りの違いによるものかもしれない。

日本のインターネットにでのモラルの低さには目を見張るものがあるが、日本に限らず世界でも、急速なインターネットの普及によって、モラル教育が追いついていないのは事実だと思う。特に、まだ匿名性が守られている国では、「何でもあり」という発想を助長しているように思う。私より若い世代の人たちは、なおさらそうだ。

スペインでもしばしば指摘される、不正な音楽や映画のダウンロード。これを悪と感じない人は多い。先日私の友人が、甥っ子の誕生日に、スターウォーズの全DVDをプレゼントしたときの話をしてくれた。その甥っ子は、スターウォーズのキャラクターが大好きでもちろん映画も大好き。友人は甥っ子の喜ぶ顔を期待して、DVDセットをプレゼントしたのだが、その12歳の誕生日を迎えた甥っ子は、悲しそうな顔をしてこう言ったそうだ。「おじさん、申し訳ないよ、おじさんにこんなお金を使わせて」「いいんだよ、今日は君の誕生日なんだから、心ゆくまで楽しんでくれ!」「違うよ、おじさん、この映画は全部ネットでダウンロードできるんだよ、なんでわざわざお金を払わなくちゃいけないのか、僕には分からない。もったいないじゃないか。」

友人は私と同じく、音楽界に従事する人間で、音楽や映画の不正なダウンロードに関して、常に様々なメディアで警笛を鳴らして来た人だ。その彼の身内とも言える甥が、そのような考え方をしていることに、彼は愕然としたという。彼一人が頑張っても、社会全体が変わって行かなければこの流れを止めることが出来ない。熱く語る彼の言葉に、私は強い共感を覚えた。

今回の入試ネット投稿事件は、起こるべくして起こった事件だと思う。容易に想定できたこうした事件を防ぐ為の方策を考えてこなかったこと自体問題だと思うが、過ぎてしまったことをどうこう言っても始まらない。カンニングで逮捕、は確かに行き過ぎかもしれない。しかしこのことがきっかけとなり、インターネットの無法地帯の整備が始まるとしたら、我々全てのインターネット利用者にとっていい教訓となったのではないだろうか?



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2011年3月1日火曜日

古本屋の魅力


写真:マドリードの古本屋

今日は、ちょっとした空き時間が出来て、マドリードで時々足を運ぶ古本屋へ行ってみた。別にほしい本があるというわけではなく、近くにいたので時間つぶしに。

スペインには、古本屋はあまりないように思う。もともと本を読まない国民なのか、本を買うという行為そのものがあまりないのか、定かではないけれど。

新聞を購読するという習慣はない。あれは、日本特有の習慣なのだろうか?スペインで新聞は読み回しが基本。バルやホテルにおかれている新聞を皆が回し読みする。だから、発行部数も日本では考えられないくらいに低い。最有力のエル・パイス紙でさえ、一日16万部程度だ。

話がそれたが、この小さな古本屋は、1階と地下の2フロアに、とにかくところ狭しと本が並んでいる。ほんとに小さな古本屋だけれど、いつも7〜8人のお客が立ち読みしたり、探し物をしたりしている。たったこれだけの人数でも、店内では「ごったがえした」ような賑わいを感じる。

店内にこの不思議な活気があるのは、店が狭いとか、足の踏み場もないとか、そういう理由ではないと思う。見ず知らずの人と、古本というキーワードで何故か結ばれたような親近感がお互いに湧いてしまうせいかもしれない。

この古本屋には、いわゆる新刊は殆ど置いていない。限りあるスペースの中に、ありとあらゆる分野の、もう絶版になったような本が文字通り山積みになっている。目的があってくると探すのに一苦労だが、あてもなくふらっと立ち寄るには最高の場所。店に入った瞬間の一瞬鼻をつく、つんとした古本特有のにおいも、私は好きだ。

同じ古本屋でも、チェーン店のブックオフにはない不思議な魅力を残した、マドリードの小さな古本屋で、午後のひとときを過ごした。






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