2009年1月17日土曜日

スペイン医療事情



3日前から、ひどいインフルエンザにかかって寝込んでいます。特にのどをやられているので、声が出せない&食事が辛いのダブルパンチ。それでも、どうしても用事があってマドリードのセントロ(中心街)に繰り出しました。

人ごみのグランビアを歩いていると、今日は何故かいつもと違う感覚が。。。『歩きやすい!』人々が、私のために道をあけてくれて、モーゼの「出エジプト記」状態。人ごみの歩道を歩くときは命がけのマドリードにおいて、これはおかしい。よくよく観察してみると、左右に道をあけてくれる人たちは皆私の顔をじろじろ見ています。そんなに具合悪そうなのかな、と思いつつ、エルコルテで買い物をして店を出ようとしたとき、「オイガ(すみません)!」というガードマンのデカイ声。防犯用ブザーが鳴ったわけでもないのに、買い物袋を見せて下さいというので、まあ、おだやかに、黙って指示に従った私。その間、店のウィンドーに映る自分の姿をみて『あっ!』。今日一日の不可解ななぞが一気に解けたのでありました。原因は『マスク』です!

そういえば、初めてスペイン人と東京で地下鉄に乗った時、大笑いしながらなんでみんなマスクをしているんだ?と聞かれたのを思い出しました。日本では、こんなには一般的なマスク。スペインではこの上なくアヤシイ人になるのです。うわぁ〜。これ、分かってたのに今日はうっかりしてました!かなり怪しかったんだろうな。でも、道は歩きやすいので、マスクは外さず帰路に着きました。

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ところで、スペインの医療制度は日本とはずいぶん違います。病気になったら、まずは指定された地域の診療所で診察をうけます。このお医者さんがいわゆる自分のヘッドドクターで、簡単な治療や診察はしてもらえます(ヘッドドクターを自分で選ぶことは出来ません)。でも、手術が必要だったり、さらに詳しい精密検査などが必要な場合は、ヘッドドクターがボランテ(紹介状)を書いてくれ、この時点で初めて大病院(または専門病院)へ行くことが出来ます。

これは、スペインの社会保障保険加入者全てに適応されるサービスで、ヘッドドクターの診察も、大病院での診察も診察料は完全無料で、処方される薬も場合によって3割〜0割負担とかなりの割引が適応されます。

もちろん、緊急の場合は救急車で大病院の救急センターに運んでもらうことも出来ます。これも無料です。さらに、不法滞在の外国人もこの制度を利用できるとのこと。無料の医療制度としてはかなり進んだシステムであることは間違いありません。

一見素晴しい制度に思えるこのシステムですが、実は大きな問題もはらんでいます。というのも、待ち時間が異常に長い!ヘッドドクターで紹介状を書いてもらってから、大病院での予約を入れるのですが、待ち時間が6ヶ月から1年という、途方もない状態。お年寄りが6ヶ月先の診察を待っている間に亡くなってしまった、という不幸な話も耳にします(←テレビのニュースではなく、知り合いの話としてです)。

それは嫌だ!という場合には有料の私立の医療機関を利用することも出来ます。その為には、私立の医療保険に加入することが必須となります。私も加入していますが、これも素晴しい制度だと私は思います。ちなみに、私はもちろん社会保障保険にも加入していますが、これは予防接種などを除いては全く利用していません。

加入料は夫婦で月額120ユーロ(1万4千円)程度。診察料は1回3ユーロ(約360円)。レントゲン、その他の検査も1回3ユーロ(約360円)。入院は1回につき4ユーロ(約480円)←これは、一日につき4ユーロではなく、1回につきというところがポイントです。私も昔、2週間ほど入院したことがありますが、請求額は4ユーロでした。昼と夜の食事はアラカルト(看護婦さんが毎朝メニューを持って来てくれて、その中から選べる)、すべて個室1人部屋で、付添人のためのベッド完備シャワーとトイレも完備テレビ無料。ちょっとしたホテルより広い部屋です。各部屋には電話も取り付けられているので、外線から直接電話を受けることも出来ます。さらに、出産のための費用は、出産と前後の入院をあわせて12ユーロ(1400円)。奇麗な病棟で、素晴しいサービスをわずかな金額で受けられるのはスゴイと思います。


*今日のことわざ*
A las diez, en la mcama estés.
(あ らす でぃえす えん ら かま えすてす)
夜10時にはベッドにいなさい。早寝早起きは健康のもと、というスペインのことわざ。いったいこれを実践しているスペイン人は何人いるんだろう(笑)。はやく風邪を治すため、今日もはやく寝ようと思います。