ついにこの日がやってきました!サイモン・ラトル氏に出会う日。朝から興奮して、対面風景をいろいろシミュレートしてみたり、落ち着かない。
関係者入り口から入れて頂き、まずはベルリンフィルのプログラム・マネージャー、マルクス氏と対面。今日のスケジュールについて説明を頂いた後、さっそく4月に予定されているザルツブルグでのリハーサルについての打ち合わせ。何から何まできっちりしてる!そして何より驚いたのは、ものすごく綿密な下準備をされているということ。カニサレスの経歴や作品、どんなアーティストと共演したかについてまで、熟知されている。さすが。
写真:ベルリンフィル・ホールの玄関
そして、大ホールに案内され、ホールの中でも一番音響的にいいとされる中央の席を教えて頂いた。カニサレスと共に、だだっ広いホールに座り、リハーサルが始まるのを待っていると、と、登場されました〜。サイモン・ラトルさん。
まずはグスタフ・マーラーの交響曲のリハから。ラトル氏はなんと楽譜を見ずに指揮している!それでいて、フルートにダメだし。バイオリンのフレーズを細かく指示。さすが、耳が違うんだな。約1時間のマーラーのリハが終わって、いよいよ休憩時間。指示通りにラトル氏の楽屋を訪れると。。。
写真:ベルリンフィルのプレスもラトル&カニサレスの写真撮影
ドアを開けるなり、カニサレスときつ〜い包容を交わしたラトル氏。私の手を握って中へどうぞ、どうぞ、と引っ張っていく。大物は器が違う。
広い専用楽屋のソファーでカニサレス&ラトル会談。一応、通訳(英語/スペイン語)に対応できるよう身構えてはいましたが、全くそんな必要なし。ラトル氏、英語が母語でないカニサレスに、優しくクリアーな英語で語りかけます。30年程前に、初めてスペインのビルバオで指揮したときのこと。初めてロドリーゴ氏に会うまで、彼が盲目と知らなくて焦ったというエピソードまで惜しみになく披露され、さらにはカニサレスに「その時にようやく、なぜアランフェス協奏曲の中に、ギタリストにとってインポシブルといえるフレーズがあるのか、初めて理解したんですよ。ギターの指使いを見たことがなかったからなんですね。あの協奏曲、ギタリストを悩ませる箇所が多々あるでしょう?」とカニサレスを労う余裕のコメント。
予定時間を大幅に過ぎて、リハの第2部が始まるギリギリまで私たちをもてなして下さいました。おかげでラトル氏、休憩なしでそのままリハ突入です。私たちも客席に戻り、ストラビンスキーのリハをこころゆくまで堪能しました。
写真:ベルリンのセルバンテスセンター
ベルリンフィルでの素晴しい午前中の後は、セルバンテスセンターで打ち合わせ。文化部の部長さんと、会食の予定。
写真:2007年にスペイン国王が訪れたときの記念碑
このセルバンテス文化センターには、スペイン国王もいらしたことがあるんですね。そういえば、5月1日の王立劇場でのベルリンフィルとのコンサートには、スペイン国王夫妻もいらっしゃる予定という話をプログラム・マネージャーのマルクスがしていたのを思い出しました。カニサレスにとっても初めての御前演奏となるわけです。ますます楽しみ。
写真:フランセスク(中央)とクリストファー(右)
フランセスクは、セルバンテスセンター文化部の方。彼がかつて(10年くらい前)ミュンヘンにいた時も、その後ブラジルのサンパウロに勤務していたときも、いつも色々協力して頂いているのに、直接お会いしたのはなんと今日がはじめて!でも、もう10年前からの知り合いですから(笑)お互いなんだか、初めてという気がしませんでした。
クリストファーは、フラメンコに造詣の深い、ドイツ人のプロモーター。これまでにパコ・デ・ルシアやエバ・ジェルバブエナなど大物を手がけてこられた、超一流のプロフェッショナルです。今回のカニサレスベルリンフィルとの共演をきっかけに、色々とお世話になっています。
夕刻、再びベルリンフィルに戻り、ラトル指揮のストラビンスキー&マーラーの公演を鑑賞。リハのときも素晴しかったけれど、公演ではさらにパワーアップした素晴らしさ。世界最高峰のオーケストラの名にふさわしい、完璧な公演でした。
長い長い一日となりましたが、深夜にもう1つ約束が。。。
写真:カルロス・ヌニェス、パンチョとカニサレスと共に
なんと偶然にも、スペインの超有名なバグパイプ演奏者、カルロス・ヌニェスもたまたまベルリンを訪れていたのです!今夜はベルリンでコンサートがあったのですが、私たちはベルリンフィルの方に行ったので、残念ながらカルロスのコンサートは見られず。でも、お互いのコンサート後夕食を一緒にとりました。
私がカルロス・ヌニェスと初めて会ったのは今からもう12年前。カニサレスが彼のツアーの招待アーティストとしてコラボしていた頃でした。日本では5年位前にスタジオジブリのアニメ「ゲド戦記」の音楽を手がけたことで有名になった彼。ガリシアの出身で、ケルト音楽をメインに活動していますが、フラメンコとカニサレスの大ファンで(笑)都合が付くときは必ずコンサートにも足を運んでくれます。ベルリンという意外なところで久々に出会い、夜中の3時頃まで尽きることない話題で盛り上がりました。
とても充実した1日でした。
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