今日はマドリード商工会議所が主催する、著作権と知的財産権に関する講義に行ってきました。朝の8時半〜午後2時までの約6時間、途中コーヒーブレイクや質疑応答などが盛り込まれた参加型の講義で、しかも受講料無料。素晴しい!音楽産業において著作権や知的財産権というのはとても重要な権利で、これについて詳しく知っておくことはビジネスを展開する上でも大事。これまでに本を読んだり、2月から通いつめた舞台芸術に関するコースでちょっと触れられたりということはありましたが、体系的に学んだのは今回が初めて。とてもいい勉強になりました。
権利関係の話では、まだまだ知らないことがたくさんあります。例えば、肖像権と著作権の問題。これは一般個人より、有名人の写真において顕著な例です。写真の被写体になった有名人が肖像権を主張する一方で、写真家は自分の作品としての写真の著作権を主張。こうなった場合に、いったいどちらがどれだけの権利を有しているのかを明確に定義する方法が、少なくともスペインにはなく、全て個別の事例になっています。
著作権の保護期間も、国によって異なります。これに関して世界160カ国が同意しているベルヌ条約という国際条約があります。この条約では「著作権は著作者が死亡してから50年を経過するまでの間継続する」と定義されていますが、加盟国でも国によって微妙に定義が異なります。。例えば、日本では基本的に「著作者の生存期間+死後50年まで、映画は公表後70年」。アメリカでは、「著作者の生存期間+死後70年間」となっているそうです。このように加盟国が独自の定義を設けている場合、国際的な作品ではどちらがどのように優先されるのか、複雑でいまだによく理解でいていません。今日の講義でもあいまいだったのが残念。
さて、スペインの定義はさらにややこしいことになっていることが良く分かりました。定義は基本的にアメリカと同じく「著作者の生存期間+70年間」なのですが、歴史的にこの数字が60年に短縮され、その後80年に延長され、さらにその後70年に戻されたという経歴があります。それぞれの法の施行時に生存している著作者の作品に対しては、その時々の新法が適応され、既に故人の場合はそのまま旧法を維持するというややっこしい事になっています。ですから、いちいち調べないといけないのです!
有名な画家の例に、ピカソとダリの作品の保護期間の違いがあります。ピカソは死後80年ルールの適応。一方ダリは70年ルールが適応されています。音楽業界で最も保護期間管理をしっかり行っているのはファリャの遺族が作る団体。細かいパーセンテージまでしっかり管理されていて、その組織力はさすが。見習いたいところです。
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